ミシュランのパワーワン・コペティションを初めて履いてから約2ケ月。
なぜか、いつも天候不順やらなんやらで、あまりレポートもできず。
で、先週のレースでもやっぱり雨が降ったり、走れなかったりしたわけですが、このままだとシーズンが終わってしまうので途中経過を簡単にまとめておきましょー。

◆そもそもなんでミシュランなのか?
「なんでそんな冒険するんですか?」
「ピレリでタイム出てるんだから、そのままでいーじゃないですか!」
はい、よくそう言われます。
なぜかと聞かれれば、それはだいたい好奇心!
だって、パワーワンってST600用としては最後発モデルなんだから、ピレリもブリヂストンもダンロップも研究し尽くして、それを超えるタイヤを作ってきているはず。 だったら、試さずにはおられまい。
ついでに言うと、ウチの娘がビブ好きだから。
水色号にビブのステッカーが貼ってあったりした日にゃ、父ちゃんに対する尊敬も深まるかもしれないので・・・(^^;
◆コンパウンドはどうなってる?
パワーワン・コペティションに用意されているコンパウンドはフロント3種類、リヤ3種類。
その内訳は、こんな感じ ↓
【フロント】
A・・・ソフト(気温20℃以下)
B・・・ミディアム(気温20℃以上)
V・・・オールシーズン
【リヤ】
A・・・ソフト(気温20℃以下)
B・・・ミディアム(気温20℃以上)
C・・・ハード(気温20℃以上、または耐久用)
A、B、Cはわかりやすいかと。
ここでポイントになるのは、Vの存在。 オールシーズン用ってことになっているけど、これってコンパウンド自体はBのミディアムと同じ。 じゃ、なにが違うのかといえばその内部構造で、タイヤの剛性を落とすために中身のベルトを減らし、よりつぶしやすくなっているのがVというわけです。 要は、フロントにガンガン荷重を掛けなくても(または、掛けられないライダーでも)旋回性を発揮できる特性で、端的に言えば扱いやすい。
その違いは、タイヤを持ってグニグニさわってみれば誰でもすぐわかります。 AやBと比べると、Vは圧倒的に柔らかく、タイヤをホイールに組む時もかなり楽なはずです。

ベルトが少ないんだったら、もしかして軽いんじゃね?
と思って、重量を計ってみたけど、これはAもVも約4.0kgでほとんど変わらず (^^
◆初走行の感想
フロント:V リア:B
「フロントの車高に高さを感じ、コーナー進入時の倒しこみが重いものの、バンクするにしたがって旋回性が増してくる。 結果、立ち上がりのラインがコンパクトになり、小回りが効くようになった。 ウェットパッチが残っているコンディションにもかかわらず、39秒台での周回が可能で、こりゃスゲェ!」
・・・と、セッティングノートに書き散らしてありました。
実はこの時、うっかりしてて、フロントサスのダンパーもイニシャルもすべて最弱状態。 走行後に気がついて、サスセットをそれまでのベストに戻す、というドタバタがありました。
なもんで、当然こう考えますよね?
「こんな状態で39秒ってことは、サスをちゃんとして、完全ドライになったらコースレコードが出てしまうやん! いやーん、照れるやん、俺。 パワーワンに星3つですぅ~」と。
ところが、そうはならないのが世の理。
この日、2本目の走行からは40~41秒を刻み続け、苦悩が始まる・・・。
◆AとVの違い
練習走行中、リアはBを履き続けたものの、フロントはAとVの両方を試しました。
その印象は構造の違いがそのまま出て、1コーナーやバックストレートエンドなど、ブレーキに負担のかかる場所では、Aが圧倒的な安定感を発揮。 一方、S字やダブルヘアピンなど、切り返しが必要なところはVの軽さが光る、といった具合。 トータルで考えると岡山国際の場合、最初はVの方がアベレージタイムを稼ぎやすいと思います。
ただし、ネガもいくつかあり、切れ込みと接地感に慣れが必要。
切れ込み感に関しては、パイパー(左左の2個目)や最終コーナーなど、やや回り込んでいくコーナーでは、ステアリングにどんどん舵角がついてくるので、それがちょっと怖い。切れ込みが止まってくれるのか、そのままフロントからスリップダウンするのかが判断しづらい印象です。 フロントが常に動いているようにも感じるのも、けっこう独特でこれを接地感の無さと捉えるか、軽快と捉えるかはライダーによるでしょう。
◆リアタイヤが真骨頂か?
正直、これまでリアタイヤは丸いもんがついてればOKくらいに思ってたわけですが、パワーワンのリアタイヤは最高!
フロントのフィーリングとは一転して、なにやっても路面を掴まえていてくれるのですごい楽。 ストレートエンドでバチコーン!とブレーキをかけてシフトダウンをしていくと、右に左にお尻を振るのはよくあることですが、それがまったく怖くない。 なんなら今時のトップライダーがみせるように、そのままリアをスライドさせたまんまコーナーに飛び込んでいけそうな気がするほど、コントロールしやすい(・・・ま、あくまでも気持ち的にはってことね)。
コーナー立ち上がりも同様で、アトウッドあたりだと、かなり微妙にスライドしながらも前へ進んでくれるので、すごい上手い人みたいな気分になれるはず! ハイサイドなんてしなさそう。

↑ レース後のリアタイヤ(A)
回転方向に向かって、不思議な縦線が入るんだけど、ここでスベッてんのかな?
◆空気圧
他メーカーのライダーがけっこうビックリするのが、パワーワンの空気圧。
推奨はこちらッ ↓
フロント:2.1kPa リア:1.5kPa
フロントがやけに高くて、リアは低い。
ちなみに、これで冷間時の設定値。
なので、タイヤウォーマーを巻いて走行した後は、
フロント:2.4kPa リア:1.9kPa
くらいまで上昇。 リアはまぁいいとして、普通のレースタイヤに慣れた人にとって、このフロントの数値ややビビるよね。 でも、当然だけど特に問題は感じない。 季節や好みで、やや前後させる必要はあるかもしれないけれど、今のところあまり試せていません。
前回の決勝前は、気温が思ったよりも上昇したことと、やや硬さを感じたので、スタート前に2.3kPaに落して走ったんだけど、これだとややつぶれ過ぎだったかも?
◆摩耗性
摩耗性もパワーワンのスゴイところ。
貧乏アピールしているようでなんだけど、レース前はフロントもリアも5時間以上は走行させます。が、しかし、変な荒れも無ければ、特別すべることもなく、タイムが極端に落ちることもない。 ていうか、気持ち悪いほど異常に落ちない。 それでも急に裏切られたらイヤなので、6時間は超えさせていないけれど、やたらとロングライフ。 お財布には優しいタイヤかと思います。
◆サイズの違い
今回のレース前、「パワーワンの秘密をみーっけ!」とひとりでほくそ笑んだ出来事がありました。

それが、こちら ↑
この写真って、ずいぶん前に自分のブログに載せてたので、その時点で気づくべきだったんだけど、となりのピレリ(左)に対して、パワーワンってずいぶん尖ってますよね? で、尖ってるだけじゃなくて、やや直径が大きく見えますよね?
なんとなく気にはなってたんだけど、予選・決勝前の土曜日に雨が降ってヒマだったもんだから、フロントタイヤの外周をそれぞれ巻き尺で測ってみたわけ。
その数値がこちら ↓
ミシュラン・パワーワン:1910mm
ピレリ・ディアブロスーパーコルサ:1870mm
(サイズは共に、120/70R17)
ゲッ!!
適当な手計測とはいえ、40mmも違うやんか!
円周率の計算くらいはかろうじて覚えているので、半径を出したら約6mmも違う!
「そっか! フロントの接地感が無い無いと思ってたのはこれや!! フロントの車高が高いからタイヤの動きが掴みづらかったんやぁ!!! パワーワンの秘密ここに見つけたりィィィー」と勝ち誇ったわけですよ。
で、取った行動はド直球。
ピレリを履いていた時と同じ車体姿勢を再現すべく、フロントの車高を下げ、リヤは上げたわけ。これで、フロントをバチーンと路面に食らいつかせて、ブンブン車体を振り回せるようになったら勝ててしまうやん! と思うよね?
さぁ、思い出してみてください。
迎えた翌日の予選は、実際にポールだったわけですよ、奥さん。
「あんなヘナチョコ走りでポールかよ。 こ、このままではやっぱり決勝は勝ってしまうやん!」と意気揚揚になるのも当然でしょう!
さぁ、実際決勝でなにが起こったかといえば、ペースが上がらず6位。
あれ?
この時、1コーナーとかバックストレートエンドで見てた人には、ひどい走り方を披露していたと思うんだけど、とにかくブレーキングで止まれず、クリップにもつけず、曲がれず、アクセルも開けられず・・・というありさま。 ゴール後にチェックしたら、なぜか前後ともサスペンションが底付きしていて、そりゃアカンわな、と納得。
この時は、サスがトラブッたのかと思ったけど、今にして思えば、前下がりの姿勢を作ったことと、決勝は完全ドライになったことでブレーキング時にかかる負担が増えすぎたのかも、と考え中。
それに、ちょっとタイヤが尖がってるからといって、そのぶんつぶれやすいってこともあるだろうし、だいたいコーナーリング中はタイヤのサイドを使うわけだから、そんなに姿勢なんて気にしなくてよかったんじゃないか・・・と、気がついてみた。
・・・バ、バカ?
そんな俺様の名刺の肩書はモーターサイクルジャーナリスト (^^;
◆で、結局どうすりゃいいのさ?
さて、じつに中途半端ながら、これまでの流れからパワーワンの方向性を考えてみましょう。
まず、けっこういいタイムが出た時の状態はこうだッ ↓
・ややウェット部分がある路面コンディション
・ダンパー、イニシャルともにかなり弱め、もしくは最弱
・ファイナルはロング傾向
要するに、あまりガッツンとブレーキをかけられず、なもんで前後サスにあまり負担がかからず、アクセルだけは開けやすい状態の時にタイムが出ているということ。 路面にしろ、サスにしろ、たまたまそうせざるを得ないコンディションで、たまたまいいタイムが出ていたということは、これからはドライコンディションでタイムアタックをかける時も意図してそういう走りをすればいい、という結論が導き出されるわけであーる。 優しく、優しくそーっとねっと。
・・・普通だ、あまりにも普通だ。
ただ言えるのは、ピレリほどコーナーリングスピードを意識しなくていいということかもしれません。
特にVコンパウンドの場合、最初の倒し込みさえフロントタイヤを信用してあげれば、あとのラインはかなりコンパクトなラインを描けるはず。 あとは、コーナー出口が見えたら、リヤタイヤのグリップ力を信頼してバチンとアクセルを開けてやれば、おのずとタイムが出るんじゃなかろうか。 しかもスゴいタイムが出るんじゃなかろうか。
進入はホドホド、最小限のフルバンク時間でクルリ、出口が見えたらドカーン的な走りに徹すればいいのだ!・・・と思う、たぶん。
加えて言えば、ブレーキングでも倒し込みでもVのフィーリングに勝るAコンパウンドのネガは、切り返しスピードのみ。 これさえ攻略してAを使えるようになれば、さらにタイムアップが可能なはず!
と、最終戦を前にいろいろ考えておりました。
そんな中、伝え聞いたところによると宇川徹選手はもて耐の時、フロントにVを選んだそうです。 やはり、軽さがその決め手だったそうですが、もてぎってブレーキング万歳!みたいなコースだよね? それでも、Vなんだ。 ブレーキングならA! という印象と仮定が覆され、さらに悩んでみたりして。 ま、世界の宇川徹と地方選手権ライダーだからねぇ・・・。
いずれにしろ、パワーワンはその性能をちゃんと引き出してあげれば必ず勝てるタイヤ!
次戦では、なんとしてもそれを証明してみせましょう。
(なんでこんなに意地になってんだろ、俺・・・)
というわけで、なんの結論も導き出さないまま、本日のブログを終了しようとしていることをお許しください。 最終戦でパリッとしたタイムが出れば、セッティングも含めてご報告致します。
あ、ちなみに。
上記のもろもろは、あくまでも個人の戯れ言ですので参考までに留めておくことをお忘れなくー。
